性格は「直す」ものにあらず、「直ってもらう」もの

 

 医者は病気を「治す」が、病気の内容によっては本人に「治してもらう」時もある。投薬や処置で治る病気もあれば、食生活や環境を変えることでしか直らない病気もある。後者は本人の自覚と実行が大切。

 ところで、子どもの性格の場合、投薬や処置では直らない。本人が変わってくれない限り、無理というものである。では直ってもらいたい性格とは、どんな性格であろうか。私たちの経験から見て二つある。ひとつは、多分「いじめに会う」であろう性格で、次は「登校拒否」するであろう性格である。この二つは是非とも「直って」卒園してもらいたいと思っている。これらの性格の特徴は「口達者で実行力のない」ことであり、また、自己の確立のできない「ぐずぐず」である。それらを見抜いた担任は、子どもの様子を見て、強く接したり優しく接したりする。さらにその子が、この壁を乗り越えられると信じればこそである。医者は病名を言えるが、私達はその理由をいうことができない。なぜなら、私達の思いは、経験からの予想であり、確率は3割であるから。野球で言う3割バッターは、ホームランを打つこともあれば、三振することだってある。打者にはいつも現実の結果が出るが、私達に出た結果は、その真偽のほどはわからない。

 実は昨日、その担任はヒットを打ったのである。夕方親子が幼稚園を訪問し、担任と話し込んでいた。「忘れ物でも…」と思い、「どうしました?」と聞いてみると「この子が、物足りないからもう一度幼稚園に行こう!と言うので、連れてきました」とのこと。話している担任の笑顔よりも、心の笑顔に対し「やったね!」と声援を送った。それにしてもこの子の母親は「えらい!」。よく堪えてくださった。感謝である。

(詳細はその子が特定できてしまうので省く)