第2章 「生活の中の音楽的環境」

 島の人々の音楽的経験 

 30年ほど前迄の島の生活の中における音楽的な経験について述べると、大まかに下図のようになる。式根島に於いては、「大踊り」はそうでもないが、新島に於いては「大踊り」が中心で、男性と女性とが、それぞれ異なった音楽的経験を経ることとなる。「大踊り」を除けば、新島も式根島もほぼ似ている。只、漁業の盛んな式根島の人々と、抗が石関係の職業に従事する新島の人々とは、仕事における音楽的なリズムが異なると私は考えている。特に式根島における漁業でのリズムについて次に述べる。式根島の人々にとって、音楽的なリズムは生活環境の中にあり、自然との関係に於いて述べなければならないのである。

 

0才 

18才

30才

50才

わらべ唄

民謡・歌謡曲など

島節

大踊り(男子のみ)

お経(節題目)

やかみ衆(女子のみ)

 島(新島・式根島共に)の伝統芸能を語る時「大踊り」を取り上げない訳にはゆかない。「大踊り」は、なんといっても島を代表する伝統芸能なのである。「大踊り」は、島の生活の、芸能的な中心であっただけでなく、生活そのものの中心でもあったと考えられる。式根島においては、「大踊り」は戦後は行われなかったが、それでも「大踊り」の行われる日には、式根島の人々は船を出して新島迄見物に行ったとのことであるから、式根島の人々にとっても「大踊り」は大いに関心のあるところだったと考えられる。