私達の仕事

 私達の仕事は、掃除に始まり、掃除に終わる。子ども達が登園して来るまでは、部屋の拭き掃除、庭の掃き掃除、その他諸々である。ところが最近は、先生達がこの掃除を嫌がる傾向にある。たいへんだからである。先生達の年令層はほぼ私の娘くらいである。私の娘が家の掃除をするかというと、まったくしないのである。会社に行けばしているとは思うが、自宅ではまったくのぐーたら娘である。だから、何となく、分らないでもないが、掃除の意味だけは伝えておきたいと思う。

 朝の掃除は、今日一日の子ども達を迎える心構えである。私達にとって子ども達は宝である。もっとも大切なお客様である。危険物はないか、壊れているものはないかと、環境の点検である。単に、掃除だと思うとたいへんかもしれないが、子ども達を迎える環境点検だと思えば納得がいく。このことで、子ども達が楽しく安全にすごすことができるならは、たいへんさも当然だと思えてくる。

 子ども達が帰ると、また掃除が始まる。今度の掃除は、子ども達の一日の活動の点検である。靴箱の泥で、その子がどこでどのくらい遊んだか想像がつく。トイレが汚れていれば、子ども達のお腹の様子が想像できる。「あの子、もしかしたら下痢してたのかな?」とか。ごみ箱のごみで、子ども達の活動の様子がうかがいしれる。

 とは言うものの、私は園長である。直接掃除に関わらないものの、「ごみの日」各クラスから出されたごみの様子で、クラスの活動の様子、先生の指導の様子が何となくわかる。ごみに中身を観察していると思われると、いやみな園長かと思うかもしれないが、この私も結構自分でごみを出しに行く。そして、そこで目に付くのである。ごみの中身でどのクラスから出たごみか百パーセント察しがつく。それが園長である。だが何も言わない。ウフフ。